知っておきたい会社設立後の税務

役員報酬の決定の仕方

役員報酬は、サラリーマンでいう給与です。
この役員報酬の額を「いくらにしたら良いですか?」という質問を良く受けます。基本的に役員報酬は株主総会や取締役会などで定めればいくらでも問題ありません。(あまりに多額だと税務署に否認される場合あり)

ここで注意しなくてはいけない重要なポイント

  • ①役員への給与は、原則として期首から3ヶ月以内に決定しなければならない。
  • ②一旦決めた役員報酬は基本的に期末まで変更できない。
  • ③法人の役員給与を決める場合、個人の税率は15%~50%、法人の税率は約30%(所得が800万円超の部分は約40%)となっているので、役員給与を高く設定しすぎると役員個人の税金負担が大きくなり、低く設定しすぎると法人に多くの利益がでてしまい、法人の税金負担が大きくなってしまう。

もうひとつ考慮にいれなければならない社長個人の税金

  • ●役員報酬を上げれば、社長個人の所得税が増え、会社が払う法人税は減ります。
  • ●役員報酬を下げれば、社長個人の所得税は減り、会社が払う法人税は増えます。

つまり、役員報酬にかかる所得税と会社が払う法人税のバランスが重要なのです。所得税と法人税の税率や計算方法が同じであれば問題ありませんが、実際は所得税と法人税とでは、計算の仕方から税率までかなり違います。
そのため、社長様が払う所得税と会社が払う法人税の合計が一番少なくなるように役員報酬の額をバランス良く決めなければいけません。

そして、一度決めたら1年間は変更しない。
このことが、最も節税になる方法です。ただし、特に法人税は、他にも法人事業税、法人住民税が絡むため、このバランスは、税理士でないとシュミレーションできないと思います。

当事務所には、専用の役員報酬シミュレーターがございますので、最も税負担が少なくなる役員報酬の額を計算することができます。
会社設立後に損益予測をお伝えいただければ、具体的な数字をお知らせいたします。

消費税について

消費税は、納税者にとって選択肢が多いため、選択を誤ると消税額が大きく異なります。
一旦選択を誤ると、取り返すことのできない損失を被ってしまいます。
特に、会社設立直 後は、難しい判断を迫られる場合が多いので注意が必要です。

では、なぜ会社設立直後は注意が必要なのでしょうか?

それは、「資本金を1,000万円未満の会社は、第1期・第2期の消費税について納付義務を負うかどうかを自分で選択できる」からなのです。 消費税の課税方式には次の3つがあります。(消費税の簡易計算式も掲載しておきます)

これら3つの課税方式を見て免税事業者が必ず消費税が一番少なくてなると思いがちですが、実は、原則課税で計算した結果がマイナスなると税金が還付される事になっているのです。

課税方式 消費税額
免税事業者になる

消費税額0円

簡易課税を適用する課税事業者になる {売上-売上×(50%~90%)}×8%
※ 売上にかける率は業種によって決まっています。
原則課税を適用する課税事業者になる 営業利益+人件費-固定資産期末残高-在庫期末残高)×8%
※設立第1期目を想定した計算式です。

消費税の課税方式は以下の2点を注意して選択する必要があります

  • ①設立した期を除いて、期が始まる前までに消費税の課税方式を決めなければならない
  • ②消費税の課税方式は、一旦選択したら、その後2年間は継続しなければならない

つまり、消費税の課税方式の選択は次の期が始まる前に決定する必要があるので、翌期の売上や設備投資等の予測によって選択しなければいけません。
また、消費税の課税方式は最低2年間継続しなければいけないので、翌々期の売上・利益や設備投資予測も勘案しながら、課税方式の選択をしなければいけない場合もあります。

このように、消費税の課税方式の選択は、とても難解なので、上で書いたような判断を一人で行うには相当の知識が必要だと思われます。