相続税とはどんなものなのか?

なぜ相続税が必要なのか?

私たちの毎月の給料からは所得・住民税などが引かれていますし、法人の所得からは法人・事業税などが引かれています。
これらは、稼いだお金に対してかかるものですから、納得できます。しかし、少しずつ貯金しても、死んだら国にごっそり持っていかれるのはたまらない、と考えるのが人情です。
ではなぜ、財産にまで税金がかけられるのでしょうか?徴収する側は、次のように考えています。

所得還元

亡くなった人が財産を残せたのは、生前にいろいろな特典を利用したり、漏れがあったためだと考えることもできます。
例えば所有している土地が値上がりしても、売却しない限り課税されません。
そこで、人が死亡した時には全て一定の法則で税金をかけることで、精算してしまおうというわけです。

不労所得課税

財産を引き継いだ場合、いわばそれは”不労所得”ともいえます。
財産のある家に生まれた人は多くの財産を引き継ぎますが、生前に財産を築けなかった人の遺族は生活に苦しむ-というのでは不公平です。
そこで、特定の人に集中した財産を、死亡による財産の移転という機会に税金の形で徴収し、再分配しようーこれが「不労所得課税」の考え方です。

税務上の相続の意味

では、相続とはどういうものなのでしょうか?
相続とは、人が死亡した時に、その死亡した人の財産やいっさいの権利・義務を、配偶者や親族が受け継ぐことをいいます。
この際に死亡した人を「被相続人」、受け継いだ人を「相続人」といいます。

言い換えれば、「相続は、被相続人が死亡した時点で始まる」ということになるのです。相続人は、相続が始まった時点から、亡くなった人の財産上のいっさいの権利・義務を引き継ぐわけです。
この引き継ぐ財産ですが、土地・建物などの不動産、自動車、現金、預貯金、有価証券などのプラスの財産だけなく、借金、負債、さらには損害賠償責任などのマイナスの財産も引き継がれます。

ただし、その人だからこそ受けられる権利(医師免許や弁護士資格等)や、婚姻関係などの財産上以外の地位(身分上の地位といいます)も対象とはなりません。