今期が赤字決算だとすると、当然、法人税を納めなくてもいいことになります。では、この欠損金はどのように処理するのでしょうか。
税法上、各事業年度は独立したものと考えられています。つまり、前期から繰り越されてきた利益は今期の利益になりませんし、繰り越された赤字(税法では「欠損」)も今期の利益から差し引くことができないのが原則です。
しかし、黒字の年だけ税金を払い、赤字の時は何の控除もないのでは、会社としても納得できません。そこで税法では、青色申告した会社の欠損に関しては例外的に特例を設けているのです。
これが、「繰越控除」です。
当期に欠損金が出た時には、翌期以降7年間にわたって繰り越して控除ができるというもので、黒字の出た年度の所得から差し引いていきます。今期の赤字分を、来期以降の所得から控除していくのです。
前期が黒字で法人税を納付した法人が、当期で赤字になってしまった場合に前期の法人税の還付を請求できる制度が、「欠損金の繰り戻し還付」制度です。
一度納税した税金は、原則として戻ってこないことを考えると検討価値の高い制度といえるでしょう。