事務所コラム

役員賞与は損金になりません!

先日、ある会社の社長さんが、自分に賞与を支給されていました。

「役員賞与は、損金にならないのに・・・・・。」

事前に何の相談もなかったので、まさか賞与支給をしているとは思いもよらず。

この方、会社を設立されたばかりの方なので、「役員賞与が損金にならない」なんてこと知らなくて当たり前です。

税理士事務所の常識が、お客様の常識ではないということを再認識させられました。

役員賞与とは、役員報酬を以外の「臨時に支払われる給与」のことです。

この役員賞与、原則として法人税法上の損金へ算入することができないので、役員賞与分にも法人税が課税されてしまいます。

さらに、この役員賞与には、所得税・住民税が課税されます。

つまり、役員賞与を支給しても、

「法人税は減らせない」し、

逆に、「所得税・住民税は増えてしまう」

といった悲惨な結果になります。

 

役員賞与が損金となるための条件

役員賞与を損金として認めてもらうためには、事前に税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出しておくことです。

この届出書には、株主総会の決議日がいつで、賞与を受取る人の氏名・支給日・支給金額を記載する必要があります。

なお、記載した日付及び金額の通りに支給しなければ、基本的にはその全額が賞与として認められませんので、よく考えて届出書を作成してください。

提出期限は、株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日までとなっています。

 

個人的な支出は、役員賞与とみなされます。

役員賞与として支給したつもりがなくても、役員賞与に該当すると税務上で判断されてしまうこともあるのです。

例えば、役員が使用する物品(スーツ・メガネ・腕時計等)を会社で購入し、それを経費処理していた場合には、経済的利益を供与したとして、その購入金額が役員賞与として認定されます。

税務調査でこれらの支出が役員賞与に認定さると、「会社の法人税」と「個人の所得税」が追徴課税されてしまいます。

「税金を払いたくない!」と考え、なんでもかんでも経費処理していると、思わぬしっぺ返しを食らうことがありますので、経費にするかどうかよく考えて処理してください。