事務所コラム

「外注費」と「給与」の判断について

「外注費」が「給与」と認定されたら

給与と外注費は、いずれも会社が人に支払う費用ですが、税務上の取り扱いが全く違います。

まず、消費税についてですが、給与は課税対象外、外注費が課税対象となります。

会社で外注費で経費処理していたものが、税務調査において否認されることがよくあります。

例えば、一人親方に毎月30万円を支払っていたとします。

この支出を外注費で処理していたとして、税務調査で給与に認定された場合、

いくらくらいの追徴税額が発生するのでしょうか?

まず、源泉所得税の額ですが、

30万円(乙欄) 52,900円×12カ月=634,800円

続いて、消費税が、

30万円×8/108×12カ月=266,666円

合計 901,466円 となります。

「外注費」と「給与」の区別の仕方

外注費も給与もいずれも他人の労務を利用している点では共通していますが、「給与は雇用契約」、「外注費は請負契約」という点が大きく異なります。

雇用契約は、使用者の指揮・命令に従って仕事をするところに特徴があります。

一方、請負は、指揮・命令を受けることなく自らの判断で仕事を行うところに特徴があります。

また、雇用契約であれば労働基準法の保護を受けれますが、請負契約になると個人事業主に該当することになり、労働基準法の適用外となります。

国税庁も平成21年12月17日付課個5-5「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて」を公表していて、給与か外注費かを判断する一つの目安になると思われます。

これによると、

① 業務を請け負った人が作業ができない場合に他の人が代わりに作業を行うことが認められるかどうか。

② 使用者から時間的拘束を受けるかどうか。

③ 使用者から業務内容等に関して指揮監督を受けるかどうか。

④ まだ引渡していない完成品が不可抗力のため滅失した場合でも、既に提供した役務分を請求できるかどうか。

⑤ 材料等を使用者から提供されているかどうか。

調査官は、このような要件を満たしているか否かで給与か外注費かを判定します。

「外注費」を「給与」だと言われないように注意しておくべきことは?

税務調査になったとき、この「雇用」なのか「請負」なのかというのは必ずモメます。

外注費で処理する場合は、請負契約を結び、発注者との間に指揮命令系統がないことを明確にしておく必要があります。

また、請求書の内容は、

「○月○日 ××時間  単価△△円  □□□円」といった書き方はしないで、

「○○工事 □□作業一式」といった書き方をしてください。

時間単位で計算していると、確実に給与とみなされます。

外注費と認められるには、さまざまなハードルがあります。

独立して仕事を請け負っていると判断されてはじめて外注費と認められます。

こういったことを理解して、事前に書類を準備しておきましょう!!