事務所コラム

法人が無利息・低利で貸付を行った場合

法人が役員及び従業員に無利息もしくは低金利でお金を貸し付けたとしても、大丈夫なのでしょうか?

税法において、法人の存在する目的とは、事業を通して収益を上げていくことと考えられています。

法人は、営利を目的として存在するものなので、適正金利でなく低金利でお金を貸し付けるのは、営利行為とは言えません。

法人が余りにも低い金利でお金を貸付けると、法人税法で決められた利率で貸し付けたとみなされます。

この利息のことを「認定利息」と言います。

認定利息の利率はいくら?

では、「認定利息」の利率は何パーセントになるのでしょうか?

もし、銀行からお金を借りていれば、その利率で計算すれば問題ありません。

一方で銀行から1円もお金を借りていなければ「特例基準割合」というものを使用します。

「特例基準割合」というのは、国税での延滞税等を計算する際に使用される数値のことで、国が決めた金利のことです。

最近の特例基準割は、下記のようになっています。

●平成26年 1.9%

●平成27年 1.8%

●平成28年 1.8%

●平成29年 1.7%

 

この特例基準割合に満たない金利で貸付けを行った場合、原則として貸し付けている利率と特例基準割合による利率の差額が、給与として課税されることになります。

認定利息と指摘されるとどうなる?

もし、役員に無利息で500万円を貸し付けている場合、下記のような仕訳を認識されることになります。

認定利息=500万円×1.8%=90,000円

役員報酬 90,000円 / 認定利息 90,000円

役員報酬には、所得税が課税されるので、貸付を受けた役員に所得税が追徴課税されます。

一方、法人には、利息が計上されますが、役員報酬も計上されるので利益が増えず、法人税は課税されないように思われますが、定期同額以外の役員報酬は損金不算入ですので、認定利息にも法人税が課税されてしまいます。

このような事態に陥らないよう、認定利息は必ず計上するようにしましょう。

なお、従業員に貸し付けた場合は、貸方科目が給与となりますので、こちらは損金不算入の対象にはなりませんので、従業員本人に所得税が追徴課税されるだけとなります。