事務所コラム

社会保険の変更

社会保険料は、「標準報酬月額 × 保険料率」で計算されます。

●標準報酬月額×健康保険料率=健康保険料

●標準報酬月額×厚生年金保険料率=厚生年金保険料

 

しかしこの計算式を使って、わざわざ計算する必要はありません。

標準報酬月額に対する健康保険・厚生年金保険の保険料は、

日本年金機構や健康保険料協会のホームページに保険料額表が掲載されていますので

こちらを参考するとよいでしょう。

都道府県毎の保険料額表

標準報酬月額とは?

標準報酬月額とは、健康保険料(5万8000円から121万円までの47等級)や厚生年金保険料(9万8000円から62万円までの30等級)の算定の基礎となる報酬のことです。

平成29年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(広島

「標準報酬月額=給与」というイメージが強いですが、基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当など、労務の対価として受け取るものすべてが含まれます。

よって基本給が同じでも諸手当で等級が異なることがあります。

標準報酬月額が決まるのはいつ?

標準報酬月額の決定のタイミングは、大別して3パターンあります。

(1)資格取得時の決定

(2)定時決定

(3)随時改定

 

(1)資格取得時の決定

事業主は、従業員を雇用したときに就業規則や労働契約などの内容に基づいた報酬月額を届け出ますが、このときに標準報酬月額を決定します。

これを資格取得時の決定といい、その年の8月まで使用します。

ただし、6月1日から12月31日までに資格取得した人は、翌年の8月まで使用します。

 

(2)定時決定

その後は、毎年1回、7月1日になる前の3か月(4月、5月、6月)に支払った報酬月額が事業主から提出され、このときに、その報酬総額をその期間の月数で除して得た額で標準報酬月額を決め直します。

これを定時決定といい、その年の9月から翌年の8月まで使用します。

定時決定は、3か月(4月、5月、6月)に支払われる報酬月額のうち、支払いの基礎となる日数が17日以上あるもので算定します。

例えば、4月と6月は30日分の報酬が支払われたが、5月は休職したため16日分しか支払われなかった場合には、4月と6月の報酬総額を2か月で除した額をもとに標準報酬月額を決定することになります。

 

(3)随時改定

昇給や降給により支払われる報酬月額が大幅に変動した場合、定時決定を待たずに届出に基づいて標準報酬月額を改定します。

これを随時改定といいます。

随時改定は、固定的賃金に変動があり、また変動月から継続して3か月間に支払われた報酬総額の平均月額に該当する標準報酬月額と、従前の標準報酬月額比べてみて、2等級以上の差が生じたときに改定します。

なお、前述のとおり標準報酬月額の対象となる報酬には、通勤手当等の諸手当も含まれますので注意が必要です。

(例)

現在の月額報酬 25万円:20等級

4月より昇給

4月 5月 6月
給与 30万円 32万円 31万円

 

昇給後の標準月額報酬=(30万円+32万円+31万円)÷3か月=30万円

昇給後の月額報酬 30万円:22等級

20等級から22等級へ2等級以上に差が生じているので、速やかに年金事務所へ「月額変更届」を提出し、7月分の給与から本人負担分の社会保険料を変更します。

なお標準報酬月額を6月以前に改定した場合はその年の8月まで使用し、7月以降に改定した場合は、翌年の8月まで使用します。