事務所コラム

役員貸付金と役員借入金

会社を経営していると、会社と社長の間でお金の貸し借りが発生することがあります。

「会社のお金」と「社長のお金」の区別がついていない方が時々おられます。

会社は法人、社長は個人なので、絶対に混同していけません。

たとえ社長であっても、会社のお金を自由に使うことはできません。

仮に、役員報酬以外のお金を会社から貰いたい時は、会社のお金を社長が貸してもらうことになります。

逆に、会社にお金が不足した時は、社長が会社へお金を貸し付けることになります。

また、法人と社長の貸し借りの記録は、決算書上に役員貸付金・役員借入金として計上されます。

役員貸付金のデメリット

役員貸付金は、その言葉の通り会社が役員へ貸し付けたお金の残金です。

この役員貸付金、役員借入金が計上されるよりもデメリットが大きく、下記のような理由により、発生させない方が無難です。

① 銀行への印象がよくない。
銀行は、使途不明の支出が発生していることを嫌います。
だんな理由であっても、役員貸付金は、社長個人の私的な支出とみなし、融資を検討する際に大きなマイナス評価とされてしまいます。
また、貸付残高に増加傾向が見られると、融資そのものが難しくなります。

② 利息を徴収しなければいけない
法人が余りにも低い金利でお金を貸付けると、法人税法で決められた利率で貸し付けたとみなされます。
この利率のことを「特例基準割合」といい、平成29年は、1.7%に設定されいます。
また、実際に貸し付けている利率と特例基準割合との差額が、給与課税の対象となります。

役員借入金のデメリット

役員借入金は、役員貸付金と比べて目立ったデメリットはあまりありませんが、強いて上げるとすれば、下記の通りです。

① 銀行への印象が良くない
これも貸付が計上されているよりかは随分ましですが、借入が少ないに越したことはありません。
また、金額が大きくなればなるほど自己資本比率が下がるので、融資格付けが下がってしまう可能性があります。

② 借入残金が相続税の対象になる
社長からすると会社へお金を貸し付けていますので、社長の相続が発生した時には、貸付残高が相続税の課税対象となります。

まとめ

・役員借入金については、そこまで神経質になる必要はありません。

・役員貸付金はなるべく発生させないように注意してください。

・役員貸付金は、金融機関への印象は当然ですが、税務署に対してもあまり良い印象を与えません。